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家庭教育フォーラム

「命の尊さ」知るには「ファミリーヒストリー」がいい

2016/6/10

広島県府中町での中学生の自殺は大きな波紋を巻き起こしました。やってもいない万引きの記録によって、志望校の入試に必要な推薦を受けられなかったことが理由だとされています。もちろん生徒の将来を左右するようなミスは大きな問題であり、廊下での指導など配慮を欠いた行動もあったようです。貴重な生命が失われたことの重みは、決して軽んじるべきではありません。

ただ、その一方で、またもや若く尊い命が自ら絶たれてしまったことに残念な気持ちが生まれてくるのも確かです。「受験や、先生への不信によって断たれるほど、君の命は軽いものではなかったはずだよ…」と。難しい問題ですが「命の尊さ」を、どのようにすれば伝えていけるのでしょうか。

NHKの『ファミリーヒストリー』は、これに一つのヒントを与えてくれます。有名人の家系をさかのぼって調査し、映像にまとめて本人に見せるという番組です。見ていて感じさせられるのは、一人の人を生み出す背後に、本当に多くのドラマがあるということ。主に江戸末期以降の激動の時代に翻弄され、様々な試練に襲われる先祖たちの姿が描かれます。また、それらを乗り越えて、家族の絆を大切に守った人たちがいたからこそ、命がつながれていくと教えられます。

個人的な経験ですが、先日、親族が集まった際に、亡くなった祖父母や父の話をたくさん聞かせてもらう機会がありました。その時、家族から愛された記憶に加えて、先生や近所の人たちの思い出までもよみがえり、「がんばろう」と素直な気持ちがあふれてきました。与えられた人生を大切に生きなければと思わされたのです。

最近、お葬式すら省略したがる人が増えています。しかし、葬儀や法事などは故人を偲ぶ親族が集まって「家族の歴史」を分かち合う貴重な機会です。同様に神棚、仏壇に手を合わせたりする習慣も、子供たちに「家族の歴史」への関心を持たせるきっかけになります。「家族の歴史」を更に深めれば、地域や国に貢献した人たち、神仏や自然の「おかげ」や恵みによって生かされていることにも気づくでしょう。

まず大人たちから、「生かされ、愛されている」ことに感謝し「命の尊さは、注がれた愛情や願いの尊さ」であることを思い出すことが必要なのかもしれません。

執筆者


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家庭問題ライター